2024年2月14日水曜日

2023年度研究会(2月23日(金)開催)

2023年度研究会は2024年2月23日金曜日、オンラインと対面のハイブリッドで行います。

日時:2024年2月23日 (金) 10:00から12:10まで
方法:対面とZoomによるオンラインによるハイブリッド開催
対面の場所:沖縄県那覇市 みんなの会議室 那覇泉崎店501会議室
沖縄県那覇市泉崎1丁目13−3
以下、プログラムと参加申し込みのお知らせをします。

プログラム(発表要旨はこのポストの下のポストにあります)
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10:00-10:10 開会

・研究発表1
「英語のポップカルチャーの中に見られる日本語借用語-2000年代の洋楽に注目して-」
河野 美月(関西学院大学教育学部学部生)

・研究発表2
「keywordとn-gramから見たマザーグースのphraseology」
谷 明信(関西学院大学)

・研究発表3
「生成AIの添削は英語エッセイの使用語彙のレベルをどう変えるのか?」
杉森 直樹(立命館大学)

・今後の研究会についての話し合い

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◎ オンライン・対面で参加希望の方は ここのGoogleForm 必ず事前登録をしてください。

参加希望の方は2月20日(火)中に、ご登録をお願いします。



2023年度研究会 発表要旨

英語のポップカルチャーの中に見られる日本語借用語 -2000年代の洋楽に注目して-
河野 美月(関西学院大学教育学部学部生)

2000年代に日本のポップカルチャーがより注目されはじめ、漫画、アニメ、アニソンなどを通して、メージャーなものからマイナーなものまでも知られるようになった。特に最近ではyoutube やSNSの影響により、日本語が広く知られる機会が増え、その速度は加速している。このような中、英語に借用された日本語の調査も、新たな考察が必要とされるのではないだろうか。
 従来の日本語から英語への借用語の先行研究では、多くの場合OEDを使用して調査が行なわれている。しかし、OEDに含まれる借用語を調査すると、2006年のamigurumiが最新で、それ以降は更新されていない。また、OEDに記載されている日本語からの借用語の定義や用例が、実際に英語話者によって使用されているものと異なる場合がある。さらに、OEDが主に書籍に依拠して調査を行なっているため、実際の用法とギャップがある場合もある。このようにOEDを元に調査を行うことに問題がないとは言えない。
 本研究では、データとして特に2000年代の洋楽の歌詞を対象とし、そこに出現する日本語からの借用語を抽出する。その際、杉浦(2005)で使われているリストの日本語からの借用語を参考にする。借用語の抽出には、洋楽の歌詞のデータベースであるLyrics.comを使用する。洋楽の歌詞の中に多く使用される傾向にある借用語が、OEDに記載されている語句の意味と同じなのか、異なるのか、また、異なる場合はどのように異なっているのかを調査する。



keywordとn-gramから見たマザーグースのphraseology
谷 明信(関西学院大学)

マザーグースがformulaic languageを含んでいると、例も挙げずに言及する研究は多い。しかし、現在まで具体的な調査を行なった研究を筆者は寡黙にして知らない。phraseology以前に、マザーグースの語彙を調査した研究は、日本人による2つの研究、椎名他(1987)と平野(1988)しか存在しないのではないか。
 マザーグースの詩のphraseologyの調査には問題がつきまとう。マザーグースの詩はそれぞれが短いため、そこから特徴的なphraseを抽出した場合、比較的長い詩のフレーズが特徴的に抽出されたり、あるいはリフレインのフレーズが抽出されるという問題がある。しかし、マザーグースのphraseologyを調査した研究が存在しないため、そのような問題を認識した上で、そのphraseologyの調査を行うことに意義はあると言えよう。
 本研究では、Oxford Dictionary of Nursery Rhymes (1998)に含まれる550の詩を対象として、コンコーダンスソフトAntConcを用いて、マザーグースのphraseologyを調査する。その際、keyword list機能を用いて特徴的な語を抽出し、その語のコロケーションをKWIC concordanceにより調査する。同時に、n-gramを利用して、そのphraseologyの同定を試みる。

参考文献
椎名紀久子、高橋秀夫、中條清美、竹蓋幸生. 1987.「マザー・グースの語い」『千葉大学教育学部研究紀要 第1部』 35. 139-154.
平野敬一. 1988.「マザー・グースの語彙の特性−archaism, dialecticismその他−」 寺澤芳雄・竹林滋編.『英語語彙の諸相』 289-304.



生成AIの添削は英語エッセイの使用語彙のレベルをどう変えるのか?
杉森 直樹(立命館大学)

ChatGPTに代表される生成AIは英語教育にも影響を与えてきているが、それを適切に利用するためには、生成される英語の言語的特徴についての研究が必要である。本研究は、日本人英語学習者の書いた英語エッセイをChatGPTに添削させた場合、添削後の使用語彙のレベルがどのように変わるかを分析したものである。理工系学部の日本人大学生が書いた英語のエッセイ20本をChatGPTに添削させ、添削の前後での使用語彙のレベルの変化について各CEFRレベルの語彙の使用頻度の割合を分析した。発表ではこれらの語彙頻度プロファイルの分析結果を示すと共に、ライティングにおける生成AIの利用のあり方について述べる。